本紫檀とは|サイアミーズローズウッドの特徴・歴史・見分け方を実体験から解説

先日はじめて「本紫檀」を触りました。
12mm玉を18個。一本のブレスレットのご注文をいただき、制作する機会に恵まれました。
「非常に硬い」「正倉院の御物に使われた材」「なぜか音響には使われていない」
などの知識は持っていましたが、
実際に触ってみると、色々と思うところがありました。
定義や分類、歴史や特徴なども改めて調べて直し、ところどころに私の感想を交えました。

本紫檀とは何か|定義

本紫檀とは、マメ科ダルベルギア属の中でも、
一般に「サイアミーズローズウッド(Dalbergia cochinchinensis)」を指す言葉です。
サイアミーズとは、かつてのシャム、現在のタイ周辺を意味します。
つまり直訳すると、「シャムのローズウッド」「タイ周辺の紫檀」という意味になります。

産地は主にタイ・カンボジア・ラオスなどの東南アジアです。
「ローズウッド」と呼ばれる木々の中の一種ですが、
その中でも特に評価が高く、古くから高級唐木として扱われてきました。
※ややこしいですが「紫檀」「ローズウッド」という表現は、
ダルベルギア属のグループを指す言葉で、固有種は指しません。

なぜ“本”紫檀と呼ばれるのか

「紫檀」という言葉は、かなり曖昧です。
・ダルベルギア属の木材全体を指す場合
・赤黒い硬木全般を指す場合
・商業的に高級感を示すために使われる場合
など、文脈によって意味に幅があります。

その中で「本紫檀」は、一般にサイアミーズローズウッド、
つまり Dalbergia cochinchinensis という特定の樹種を指します。
紫檀という呼び名が広く使われてきたため、「本」の字が添えられたと考えられます。

また紫檀には、古くから唐木商の間で「古渡」「中渡」「新渡」といった呼び分けがあります。
これは単なる経年変化だけでなく、
材そのものの色味、縞、黒味、入荷した時代、流通背景などが重なった呼称です。
一般に古渡紫檀は紫赤色と黒味を帯び、新渡紫檀は朱赤色が強い傾向があります。

本紫檀の特徴

私が加工して個人的感じた本紫檀の最も大きな特徴は香りです。
甘く嫌味がなくいい香りがありました。
ここでは様々な観点から私の感想を交えて本紫檀の特徴をまとめました。

見た目:

紫というよりも黒に近い深みのある紫です。光が当たると紫色が強くなります。
模様は様々ですが冬目と夏目がはっきりしていて、縞模様が見られることが多いです。
実際に重いですが、見た目にも重厚感があります。

重さ:

様々な木を手にしてきた方ならわかるほどに
手に持った瞬間に「重い」と感じるくらいに重いです。
想像以上の重量から「普通の木ではない」感じがあります。
この重量感も歴史的に珍重されてきた理由の一つかもしれません。

加工感:

とにかく硬かったです。
これまで私が触れてきた木の中で、最も硬い木でした。
同じ仲間のブラジリアンローズウッドよりも硬く、比重の高さも体感で分かるレベルでした。

一方で興味深かったのは、その硬さの質です。
旋盤で左右から強い力を加えて固定させましたが、力を加えすぎると割れました。
このことから、本紫檀は硬い一方で、日本の材のような粘りは少ない材だと分かりました。

香り:

ブラジリアンローズウッドのような強いエキゾチックな甘さはなく、
爽やかなベリー系の甘い香りがあります。
また、ブラジリアンローズの加工では鼻水が出るような反応がありましたが、
本紫檀ではそのような刺激は感じませんでした。
同じダルベルギア属でも、産地の違いによって成分に違いがあるのかもしれません。
※本紫檀:東南アジア / ブラジリアンローズ:ブラジル

歴史的な本紫檀の評価

本紫檀が評価されたのは、美しさだけでなく、
硬さ・重さ・耐久性・磨いた時の艶を兼ね備えていたためだと考えられます。
長く残る材であり、仏具や家具、工芸品にふさわしい品格を持っていたことが、
数多くの木の中で特別視された理由です。

正倉院との関係

紫檀は、正倉院宝物に見られる唐木文化とも深く関わります。
古くから海を越えてもたらされた貴重な材として、楽器・調度・仏具などに用いられ、
単なる木材ではなく、権威や信仰、美意識を宿す素材として扱われてきました。
日本における紫檀の歴史は非常に古く、奈良時代にはすでに海外から輸入されていました。

正倉院御物に使用される紫檀は本紫檀だとする見方が濃厚です。
断定はできませんが、当時中国で本紫檀が高級材として使用されていたからです。
中国からの文化に倣っていた日本の御物に本紫檀が使用されることは自然です。

本紫檀の見分け方

市場には「紫檀」として流通している木材が多くありますが、すべてが本紫檀とは限りません。
見分けのポイントとしては以下が挙げられます。

①異様な重さ(比重の高さ)…同じ容量で比較してください。大きいほど分かりやすいです。
②道管の大きさ…木口の粒々の大きさを確認してください。0.1ミリほどで目視ではほぼ見えない地位さな道管です。
③香りの違い…甘くさわやかなベリー系の香りです。クセがない感じがします。

非常に難しいため、判別が必要な場合は取り扱いの多いプロの判断に委ねるのが妥当です。

まとめ

今回は、本紫檀を初めて触ったタイミングで
記事としてまとめました。
解説にはまだまだ至らない点があると思いますが、
引き続き、生の知識を蓄積させていきたいと考えています。
私の実感を含めた記事が、何かしらのヒントになりましたら幸いです。
もし気になった点があればぜひご一報ください。

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