屋久杉とは
標高500mを超える山地に自生し、樹齢1000年以上の杉を「屋久杉」と呼びます。
樹齢1000年以下の杉を「小杉」。樹齢30年〜50年の植林した杉を「地杉」と呼んで
区分しています。
樹齢を重ねるほどに、材面は木目が緻密になり
屋久杉特有の奇怪で鮮やかな杢が現れます。
屋久杉の異様さを形づくる屋久島の環境
屋久島の気候・風土にはこのような特徴があります。
・日本一台風が多い
・日本一雨量が多い
・土が浅く土壌環境が過酷
樹木にとって必ずしも良いとは言えない環境に適応していくことで
同じ種でありながら、全く異なる様相を表す杢目模様が生じる個体になったと
考えられます。
台風が多いことで、樹木が一定以上の高さを保てず、樹木の枝がへし折られます。
その結果生じる傷口からの腐食を防ぐために
油分(屋久杉は通常の杉の5倍程度の油分量)が機能しています。
日本を代表する銘木として
屋久杉が評価されてきた理由
屋久杉の材面の特徴
屋久杉の見た目は、一般的な杉とは異なり、色味が濃い茶色です。
しっとりとした触感と独特の艶は、台風の多さや浅い土壌などが関連しています。
瘤材と呼ばれる希少材には大変緻密で美しい模様が出ます。
腐食を止める油分は深く甘い香りを持ち、抽出され精油としても活用されています。

新しい伐採がない屋久杉。
今後、屋久杉工芸が生き残るための考え方
屋久島という特異な環境下で育った巨木には、鶉杢と呼ばれる模様が出ます。
江戸時代には屋久杉は薩摩杉と呼ばれていたことが分かっており、ブランド杉として全国に名を馳せていました。
当時は、まだ豊富に屋久杉が自生しており、水に朽ちない性質から、年貢として納められていました。
年貢には屋久杉の幹材が使われ、根材、瘤材は山に放置されました。
当時電動機械がなく、加工方法が確立されていなかったことが要因です。
根材、瘤材は、ここ100年で搬出され様々な製品に加工されています。
2020年以降、公の市場が閉じ、搬出は行わておらず、供給は減少しています。
今ある限られた材にどう向き合い、どう形にしていくか。
屋久杉は、ただ古い木ではなく、長い時間と自然の力がかたちづくった、ひとつの造形です。
その普遍的な美しさに、どのような手を加え、何を選び取っていくのか。
過去がそうであったように、令和に生きる私たちの美意識や暮らしを映し出す造形もまた、変化し続けていくはずです。



