「だるま」は日本の縁起物の代表格です。
まるくて手足のない赤色の造形はインパクトがあります。
一度目にすると忘れません。
私たち日本人は「だるま」と聞くとほぼ同じ造形を思い浮かべるはずです。
昨今は日本文化が海外から注目されており、
外国人に日本文化の説明を求められる機会も増えてきました。
この記事では、日本の縁起物「だるま」について、
起源、造形の由縁、縁起物としての意味、ご利益などを網羅的にまとめています。
最後に私たちが取り組む
「木製だるま(銘木だるま)」の着想と銘木を使うことの意味合いに触れました。
「だるま」とは何か|1分でわかる基本
だるまとは、禅宗の始祖「達磨大師」をもとに作られた縁起物です。
倒れても起き上がる姿から、
「七転八起(ななころび やおき)」何度転んでもまた立ち上がる象徴とされています。
日本では古くから願掛けや節目の祈願に用いられてきました。

「だるま」のご利益
だるまは、現代ではさまざまな願いを託す縁起物として用いられています。
代表的なものは次の通りです。
・開運招福・商売繁盛・合格祈願・家内安全・当選祈願・目標達成
だるまのご利益が広く受け入れられてきたのは「願いを叶えてくれる魔法の人形」というよりも、
願う人自身の心を定める道具として機能してきたからかもしれません。
だるまの起源「達磨大師」|インド→中国へ
ご存知の方も多いと思いますが、
縁起物のだるまの起源は、禅宗の始祖「達磨大師」です。
「達磨大師」が生きた時期は文献に残っていませんが、
おおよそ5〜6世紀のインドに実在していたようです。
仏教の聖地であるインドでは当時すでに仏教哲学が成熟しきっていました。
インドでは実学を重んじた「達磨大師」が掲げる新しい思想が入り込む余地のなかったため、
達磨大師は中国へ渡ります。
中国での布教が功を奏し、仏教の一大宗派「禅宗」として中国に定着していきます。
この流れが後の布袋様を生み出します(生年不詳 – 917年)。
布袋も同様に実在の僧です。
また、iPhoneを発明したスティーブ・ジョブズが禅宗に傾倒していた話は有名です。
面壁九年|丸いダルマになった逸話
禅の教えは「自力・体験・覚醒」を重視します。
その象徴が「達磨大師が壁に向かって九年間坐禅を続けた」という逸話です。
これは「面壁九年(めんぺきくねん)」と呼ばれています。
九年の坐禅を続けた結果「手足が腐り、手足がなくなった」と考えられています。
また、だるまの形は「坐禅の姿を極端に単純化した造形」でもあります。
法衣に包まれ座る僧をシンプルに描くと丸い形に近くなります。
つまり、だるまの形は
・九年間の坐禅修行の象徴
・坐禅する僧の姿
この二つが重なり成立したと考えられています。
達磨大師が本当に手足を失ったわけではなく、坐禅の重要性を示すために極端に表現された逸話ですが
「面壁九年」は達磨を象徴する物語として広く語り継がれてきました。

だるまの縁起物の意味|七転八起(ななころび やおき)
倒しても起き上がるような、ころんとした丸い形。
この「七転八起(ななころび やおき)」を連想させる造形は、
「だるま」を縁起物たらしめる一番の理由です。
転んでも動じず、ゆっくりと立ちあがる。表情を変えずに、また立ち上がる。
くるんと転がる動きにもどこかおかしさが感じられます。
「だるま」は日本の代表的な縁起物です。
木製だるまという新しい形
一般的なだるまは張子(和紙)で作られます。
一方で、木製のだるまも古くから存在しています。
そして木でだるまを作ることには、単なる素材違いではない意味があると私は考えています。
木は時間をかけて成長した自然素材のため、時間、痕跡、個性が宿ります。
見てきたように、「だるま」は、達磨大師が九年座禅する姿が元となっています。
それは「まったく動かない」ことではなく、外的な環境に揺らがない、ぶれないことを意味しています。
この感覚は、一生を同じ地で生きる樹木のあり方とも重なります。
木は同じ場所に立ち、風や雨や長い時間を受け止めながら、生をまっとうします。
その経過の結果である木目や痕跡に個性を見出す銘木観には、
だるま人形を生み出した禅の思想ともどこか通じるものがあるように見えます。

さいごに
1500年以上の時を経て、日本の縁起物の代表的な存在にまで押し上げられたダルマさん。
手足のない「何もできない形」がなぜここまで息が長く、インドから離れた日本で縁起物として定番になったのでしょうか。
・何かを足すのではなく引いてみる。
・外に求めるのではなく自分の内に気づく。
・立ち止まったときにこそ大切なものが見えてくる。
無駄を削ぎ落とし切った「だるま」の姿は
一見すると無駄に見えるものの中にこそ糸口がある
というメッセージを静かに語りかけているのかもしれません。
私たちは「持っているもの」や「できること」で、さまざまな物事の価値を推し測りがちです。
私はこの記事を書いていてふと乙武洋匡さんを思い出しました。
不自由とともに、ご自身の人生を謳歌されているように感じられます。
実際に自由であることと、物理的な制約があることの間には、私たちが思うほど大きな関係はないのかもしれません。
ダルマさんが縁起物の定番になった背景には
インパクトあるコロンとした造形に加えて、
このような解釈の多様さが関係しているのではないか。
そのように感じました。
FAQ
Q. だるまとは簡単にいうと?
達磨大師をもとにした、日本の代表的な縁起物です。七転八起や願掛けの象徴として親しまれています。
Q. だるまはなぜ手足がないのですか?
面壁九年の逸話と、坐禅する僧の姿を単純化した造形が由来と考えられています。
Q. だるまのご利益は何ですか?
開運招福、商売繁盛、合格祈願、家内安全、目標達成などです。
Q. だるまの目はどう入れますか?
願いを込めるときに片目、願いが叶ったときにもう片方を入れるのが一般的です。

