有事の時代に、なぜ銘木は評価されるのか

— 戦争と「時間の価値」について —

最近、ある文章を読んで考えさせられました。

世界のエネルギー争奪戦が前倒しで始まっている。
世界経済は「効率性」から「冗長性」にシフトしている。

経済が効率・スピード・安さから、安全・備え・持続性重視に移行しているという指摘です。
これを目にして、ふとこういったことを思い浮かべました。
「太平洋戦争と過去にあった銘木の流行は関係があるのではないか」
突飛な発想ですが、あながち誤りでもないような気がしています。

昭和時代、日本には銘木ブームがありました

昭和中期、日本では銘木が流行しました。
「床の間の床柱」「欅の座卓」「銘木天井板」「黒柿」「神代杉」
家の中に銘木を使うことが一つの文化になっていました。
これは高度経済成長の影響が大きいと考えられています。
一方で、戦争との関連もあるのではないかというのが
この記事の仮説です。

戦争を経験した世代の価値観

戦争を経験した世代は、

  • 社会が崩れる
  • 都市が破壊される
  • 生活が一瞬で変わる

という現実を知っています。

その経験を持つ人は、

「一時的なもの」よりも
「長く残るもの」に価値を感じやすい傾向があります。

つまり

消費 → 信用しない
時間 → 信用する

という感覚です。

そして今、令和の私たちもまた、
不安定な世界情勢の中で、どこか似た空気を感じ始めているのかもしれません。


銘木とは「時間の塊」です

銘木の価値は、単なる材料ではありません。

例えば

屋久杉
神代杉
古材

これらは

数百年

千年

数千年

という時間を生きてきた木です。

つまり銘木とは、

時間の塊

とも言える存在です。


不安定な時代、人は「時間」に価値を見出します

歴史を見ても、不安定な時代には

  • 古道具
  • 古茶碗
  • 古材
  • 古書

などが評価される傾向があります。

その心理はとてもシンプルです。

長く残ったもの

信用できる

これは骨董市場でも、アンティーク市場でも同じ構造です。


世界は再び「有事モード」に近づいています

現在の世界では

  • エネルギー争奪
  • 地政学リスク
  • サプライチェーンの分断

などが議論されています。

その結果、世界経済は

効率

冗長性

つまり

備える社会

へと移行しつつあります。


もしそうなら、価値の軸が変わります

効率社会では「新しい」「速い」「便利」が価値でした。
しかし不安定な社会では「長く残る」「本物」「時間」
が価値になります。
銘木が評価される要素は後者の軸と重なっています。

銘木は今後、評価がはじまる素材かもしれません

昭和の銘木ブームは「床の間」「建築文化」と結びついていました。

しかしもしこれから銘木が再評価されるとすれば、
それは建材としてではなく、時間や履歴を持っている人工的に生産できない点かもしれません。
どういう形で評価されるのかについては、
私たち銘木商が考えるべき大きな課題の一つです。

最後に

銘木と呼ばれる木は、
何百年、何千年という時間を生きてきました。
人間の一生よりも、はるかに長い時間です。
その木が役目を終えた後、
私たちはその時間に触れることができます。
銘木とは単なる木材ではなく、
時間そのものに触れることができる素材なのかもしれません。

この記事の突拍子もない仮説が、もし本当に正しいなら
「有事の金」ならぬ、「有事の木」として
私たちの喧伝の有無に関わることなく
自然と銘木素材の評価が高まります。
銘木はこれからも静かに、その存在感を増していくのではないか。
そんなことを、ふと考えています。

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