はじめに
江戸時代に材木商の「丸太屋」「唐木屋」「板屋」が存在していました。
この内の「板屋」が別名「猫屋」と呼ばれていたそうです。
1986年出版『銘木史』にも実際に記載されています。

なぜ「板屋」に動物の「猫」が当てられたのか?由来ははっきりしません。
当時は材木商の王道として「丸太屋」が幅をきかせていたようです。
その時代背景から、私の推測ですが
・板を並べてある隙間に猫が集まった。
・「板屋」は丸太を製材した余剰材を買い取って商売していた。余り物を「猫まんま」と呼ぶように揶揄した。
・木材として扱いにくい根っこ(根材)を扱う「板屋」の「丸太屋」による皮肉。
このようなニュアンスがあったのかもしれません。
今のところ由来に触れた本を目にしたことがありません。
この記事では、この推測を前提にして、
江戸後期〜令和の200年の間に根っこ材(瘤材)への評価がどう変化したのかをまとめました。
根っこ材の特徴|①見た目が美しい②加工しにくい
①硬く、繊維が複雑
・木の根は地中で重力や土を支えるため、繊維構造が不規則です。
・カンナで面を出すと美しい。複雑な朽ちた跡などには侘び寂びの趣がある。
②当時の手加工では手間がかかりすぎる
・電動工具普及の前には、鋸や鑿、カンナなどの手道具で加工するのが一般的でした。
・商品価値が十分に見い出しにくく、手間をかけるコストに見合わなかった可能性が高い。
江戸時代にも変木・珍材を好む作家や愛好家はいた?
①作り手にとっての根っこ材
杢材と加工のしにくさは表裏です。
意匠的にあえて指物や象嵌などで部分的に扱う作り手はいたはずです。
②消費者にとっての根っこ材
どこにもない。自分だけが持っている。という特別感はあったはずです。
パイプにバール材が使われて居るように嗜好品との相性はよく、当時から流通はしていたと考えられます。
現代の根っこ材―根材(瘤材)への再評価
①工芸の世界で注目
曲がりや節を活かしたアート作品や家具、器作りが盛んになり、
変木や瘤材(バール)、根材の個性を積極的に使う人が増えている。
②不遇だった素材が独自の価値を持つ
昔は敬遠されがちでも、いまや普通ではない杢目や自然のままの曲線を求める層が存在し、
特にデザインやクラフト界隈で高い評価を得ている。
これらの再評価への背景には、明治期に発達した電動機械の影響が大きいはずです。
明らかに採算が見合わなかった扱いにくい根っこ材が、
こうした機械加工の普及で、現実的に扱われる流れができたのだと思います。
まとめ
江戸時代には3大材木商はこのような棲み分けがあったと考えられます。
・「丸太屋」・・・建築に必須の木材を扱う王道の材木商
・「板屋・猫屋」・・・丸太の製材後の余剰材を板、根っこ材、木っ端を扱うお店
・「唐木屋」・・・海外からやってくる変わった木材(唐木)を扱う神秘的なお店
加工性の悪さから利用用途が見出されにくかった「根っこ材」
様々な過去の文献を読み解くと、
その認識を大きく変えたのが大型機械の登場だということが分かってきました。
一方で明治期に出版された『木材ノ工芸的利用』には
すでに銘木の一種として瘤材が記載されている旨が、先述の『銘木史』にありました。

その意味で、大型機械の登場前から、根っこ材は一定の評価は得ていました。
しかし現実的に扱うにはあまりにもコストがかかりすぎる。
こうした背景が「猫屋」という表現を定着させたのかもしれません。
「猫屋」や「根っこ材」はこうした変遷を経て
令和の現代では「唯一無二の表情をもつ素材」として見直されています。
《 まなこの音について 》
かつて猫と呼ばれた通常の流通からは出てこない特徴のある木素材を取り扱っています。
扱いにくい一方で多様な個性があるため、多彩な表現が可能です。
まなこの音では、そのような瘤材・珍材を使った「実用品」の制作、販売を行なっております。
厳選する瘤材一覧▼
▷令和の猫材製品を見る
ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
《 関連記事 》
・「瘤材」に関する記事はこちら▼
https://manakonooto.com/meiboku-arekore/burl-light/
《 関連商品 》
・「瘤材」一覧▼
https://shop.manakonooto.com/collections/burl/
《 初めての方へ 》
・「まなこの音」及び「製品」について▼
https://manakonooto.com/products/



