1. 知る|銘木(めいぼく)とは

木材の見た目を評価する銘木文化

「本記事では『銘木』について、その意味や特徴、種類や歴史など、網羅的にまとめています。
前半〜後半まで一般的な銘木についてまとめました。
最終箇所に一部私の主観的な観点を記載しています。

これまで約10年『銘木』に携わってきたなかで、1000人以上の銘木製品のユーザー様との交流
銘木商や木工家の先輩との何気ない会話や日常のやりとり、自身がものづくりをする中で分かってきたこと。
それら多方面から得てきた銘木に関連するまとめています。
※随時更新していく予定です。

読み進めやすくなるように、一つの項目の深掘りを避け
各項目の考察はリンクを設置して別の記事にしました。

知れば知るほど謎が増えていく銘木の世界を、
これをご縁にどうぞ覗いてみてください。」

※本記事は銘木についての網羅的な記事です。
各項目をより深めるリンクを掲載しておりますが、
まずはリンクは読み飛ばして、読み進めることをお勧めします。

この記事はこんな方におすすめ|30秒で概要

✓ 銘木って何?
 歴史・代表樹種・特徴などを網羅

✓ 銘木の価値を裏付ける3視点
 1.巨木性 2.杢目 3.希少性の視点を整理

✓ 暮らしに取り入れる
 手のひらサイズの銘木アイテムを紹介

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動画でざっくりと把握したい方向けに、本記事を対談形式で考察した音声はこちら▼

約7分で銘木の意味や歴史をざっくり掴めます。


 

銘木(めいぼく)とは

一言では「鑑賞的価値が高い木材」です。
美しい木目や独特の模様、色合いなど、視覚的・感性的に卓越した特徴を持つ木材の総称です。
主に建築材、家具材、工芸材として用いられます。
立ち木としての時間の過程で偶然生じた瘤や、年輪とともに現れる木目模様が二つとない造形美として評価され、
古代から人々に珍重されてきました。

用語定義対象
名木(めいぼく)歴史・象徴的な価値を持つ巨木
立ち木
生きている木
銘木(めいぼく)美的価値・希少価値がある
木材
加工された木

代表的銘木の樹種と瘤材

銘木には「ここからここまでを銘木と呼ぶ」という明確な線引きが存在しません。
定義を曖昧にしておくことで、名のない美しい木材を「銘木」と呼ぶことができる
という遊び心からくる余白ではないかと私は推測しています。
ある程度線引きを引くことはできるので
ここでは一般的に銘木とされる樹種及び瘤材を羅列しました。

マホガニー:赤褐色の艶。高級家具・楽器に用いられる。
チーク:耐水性が高く船舶・床材にも。
ウォルナット:深い色合い。家具や器物に。
欅(けやき):玉杢で知られる日本の銘木。
黒柿:黒い模様が現れる希少材。
屋久杉:千年杉とも呼ばれる霊的存在感のある杉。
瘤材(こぶざい):日本だけではなく、世界的に古来から評価されてきた材種。※英語ではburl。

『海外の高級木材 vs 日本の銘木─特徴・価格帯・魅力を徹底比較』▼
https://manakonooto.com/viewpoint/comparison/
『瘤材とは』▼
https://manakonooto.com/meiboku-arekore/burl-light/

銘木と呼ばれる理由|通常木材との違い

1.巨木であること 2.杢目の美しさ 3.希少性

これらが銘木の価値を裏付けています。
銘木には宝石(ストーン)に見られるような鑑定書や証明書は発行がないことがほとんどです。
普及しなかった背景は定かではありませんが、木がそもそも石のように永久性のある素材ではないこと。曖昧や余白に趣を見る日本文化の現れではないかと考えています。

木目に美しさが感じられる:玉杢・縮杢など
特有の香り:白檀(香木とも)
経年変化:桑ー加工後の質感の変化,神代系ー土中に埋まる中での材の色味の変化
希少性:巨木の素材という意味でそもそも成り立ちが希少
好きな人が多い:栃材は昨今注目され、相場が上がりました。銘木としての意味合いを強めています。

『通常の「木材」と「銘木」の見分け方』▼
https://manakonooto.com/door-to-forest/distinguish/

木との関係から生まれた「銘木」のはじまり

歴史をさかのぼると、数百万年前から木材は人びとにとって身近な存在でした。
木は建材・食器・武器など、生活に欠かせない道具へ姿を変えながら私たちを支えてきました。
あまりにも当たり前に寄り添ってきたため、ありがたみすら感じにくいほどです。

やがて人びとは、木を単なる材料ではなく「眺める対象」としても愛でるようになります。
正倉院の宝物に見られる精巧な木工品からは、すでに約1400前に優れた木材を選び取り、
その美を鑑賞するという発想―すなわち〈銘木〉の概念が存在していたことがうかがえます。

文献における「銘木」最古級の出現例
実際に「銘木」という語が活字として確認できるのは、明治期になってからです。

  1. 明治32年(1899)
    業界紙『木材商報』創刊号広告 ― 「銘木丸太」「銘木屋」
  2. 明治33年(1900)
    『東京材木商組合 営業案内』 ― 「銘木床柱」
  3. 明治34年(1901)
    雑誌『建築世界』創刊号 ― 記事「銘木ニ就テ」

これらが現在確認できる最古層とされ、〈銘木〉という呼称は明治30年代に成立した新語であることがわかります。

概念は言葉よりも古くから存在した
もっと以前から「選りすぐった木を愛でる文化」自体は各地にありました。
たとえば中国の乾隆帝(在位1736–1795)は美術品の大収集家として知られますが、
そのコレクションには銘木として名高い黄花梨材の家具が含まれていました。
日本は古来より中国文化の影響を受けてきたため、銘木を重んじる美意識も東アジア全体で共有されていたと考えられます。

「銘木」という呼称が定着した背景
明治維新後、鉄道の敷設や港湾整備が進み、材木の流通網が全国へ広がりました。各地の希少材が都市の木場(木材市場)へ集まるようになると、従来の「珍木・変木」では括り切れない多様な高級材を示す呼び名が必要になります。その過程で「銘木」という名称が生まれ、業界紙や組合名簿を通じて急速に定着した―これが現在の通説です。

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昭和|銘木観「豪華絢爛」

昭和の日本では、銘木は和室や床の間、社寺建築などに用いられ、「荘厳な造形美」として表現されました。
欅の玉杢や黒柿の孔雀杢などの見事な杢目模様の建材や家具が木製家具の最高級品として流通しました。

『昭和61年刊行 銘木史 著者 銘木史編集委員会 編 出版社 全国銘木連合会』 銘木需要の高さを物語る事典のような書籍

平成|銘木素材の和室需要の縮小「建築様式の変化」

平成に入り、建築の現場でプレカットと呼ばれる、木材加工技術が導入され始めたことで
材料の調達や加工などを含めて、これまで異なる建築方法が新しく確立されました。
その流れの中で、和室が減少し、それとともに銘木ニーズは縮小していきました。
「和室へのあつらえ」という旧来の用途にとらわれない銘木の新しい活用方法が、個々の銘木商、業界全体で模索されています。
そのことは全国銘木連合会のホームページにも明言されています。


ライフスタイルの変化
しかし、和から洋への文化の移行が進み、和室が洋間に変わり、和室造作材としての銘木の使用が激減して現在に至っています。
https://zenmeiren.com/new_use/
※全国銘木連合会ホームページ

『隆盛〜斜陽への変遷をテレビ業界になぞらえたどる記事』▼
https://manakonooto.com/viewpoint/meiboku-industry/

令和|選択肢と好みの多様化「答えのない時代」

現代は、物の見た目の造形以上に、目に見えない背景やプロセスに価値を感じるようになりました。
かつて市場を席巻した「和室へのあつらえ」や「豪華絢爛な銘木」は下火ですが、
引き続き、シンプルに巨木を断った一枚板への需要は高い状態です。
また、素材自体に背景やプロセスが滲む特殊性は、現代でも通用する銘木の特性です。

形を変えて、その価値が見直される兆しが感じられます。
銘木の本質的な価値は、今も昔も変わっていません。
変わっているのは、私たちの価値観とインテリアのデザインです。

私が考える銘木材ならではの特徴|価値

変幻自在性

銘木の面白さは「変化」にあります。
これは、様々な意味の変化です。

1.樹木としての役割を終え、木材に変化する。経過としての変化。
2.人の手が加わることで変化する。加工による変化。
3.個体差がある。
見た目の多様さ、変化

そして、私たちはこれらの変化を前向きに楽しいものとして捉えてきました。
あいにく、木素材は経年すると腐るため(これも変化?)、その他の素材の国宝・重要文化財と比較すると
残存数は少ないですが、正倉院の御物にその痕跡があります(通気性に優れ温湿度を一定に保つ校倉造で守られたため)。
また、一枚板の耳は切り落とさず、その変化を許容しています。
面白くはないですが、木が曲がる・動く・ねじれるなどの性質も変化です。
このような「変化」は銘木を含む木素材全体の大きな特徴だと思います。

見た目の差異を作り出す背景|理由

木素材の特徴は「材に滲む雰囲気」とその「多様さ」です。
それは、木材がそもそも樹木としての別のレイヤー・背景をもつ素材だからです。
樹木は根を通して栄養素を取り込みます。そのため地中の環境に影響を受け、
それが結果的に個体差を作り出しています
 ー強く主張するのではなく、ただ静かにそこにいる感じがある
 ー他の木々と、何か異質な雰囲気をまとっている感じがする
1本1本、箇所箇所の多様な見た目の裏には、木材に変化する前の時間と土壌が影響しています。

神秘性とフィットする素材|見えると見えないの交差

木材は、かつて森に立っていた樹木の断片です。
年輪は時間を、色合いは土壌を、香りは気候をほのめかしながらも
語りはじめることはありません。
ーじっくりと時間をかけて育った幹に生じる模様。
-人もまた、時の経過とともに皺が深まり、言葉が重みを増す。

私たちは、その語られない物語に想像を重ねることができます。
「巨木の複雑な杢(もく)を眺めたとき、おぼろげに遠い記憶が立ち上がるような気がする」
馬鹿げた発言に聞こえかねませんが、不思議とあまり違和感は感じません。
バオバブ(生命の木)、ユグドラシル(世界樹)、扶桑(ふそう)、ドラゴンブラッドツリー(竜血樹)
など古代の文明が樹木に神秘性を重ね見たように
些細に感受性を刺激したり、想像力を促すような力が潜んでいるのかもしれません。


『世界の神秘的な樹木 8 選|神話と縁起をめぐるストーリー』▼
https://manakonooto.com/door-to-forest/enigmatic/

多様にある木味を小物に馴染ませた製品

銘木について、特徴や種類、歴史まで様々みてきましたが、
こうした背景の中で「まなこの音」では銘木を小物として製品にし、展開しています。
「現代の生活にフィットする銘木の造形は?」
この問いに対する一つの答えとして、現在製品を準備中です。
https://shop.manakonooto.com/(製品一覧|準備中)
時の経過によって結果的に作り出された樹木の模様・様相に着目し
それらが日常に溶け込むことを意識しています。

おわりに―色どりのある沼への片道切符

意識することなく、何気ないものとしてあらゆるところで目にする木々という素材。
今回はその一端である「銘木」について網羅的にまとめてみました。
私は大工や木工家から「木が嫌い」という声をこれまで一度も聞いたことがありません
読者の方は「好きとは思わないが嫌いでもない」そのような認識の方が大半だと思います。
しかし、本記事に書いたように、この道のりの向こうには
色どりのある沼のような迷宮が広がっています。
これを機にその深みをのぞいてみてはいかがでしょうか。
この記事がその一助となりましたら幸いです。

《 まなこの音について 》

まなこの音では、銘木材の表現の仕方を、研究し、
個々の特徴ある木がより引き立つ方法を模索しています。
また、銘木材を使用した日常に使える「製品」の制作、販売を行なっております。
オリジナルオーダー品も制作しています。
お気軽にお問い合わせくださいませ。

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