なぜ希少な木目が生まれるのか?─自然と偶然が生む模様の不思議

なぜ希少な木目が生まれるのか?─自然と偶然が生む模様の不思議

1. はじめに

木であしらわれた作品や製品を目にすると、ごく稀に「木の模様」に目が惹かれることがあります。
何者かが塗りかさね描き出したかのような、ぐるりと広がる模様、うねる縞、渦や筋目。
この模様は「杢(もく)」と呼ばれます。
希少な杢が出る材を特別な木─「銘木」として古くから珍重されました。
こうした奇抜な模様「杢」は、なぜ生まれるのでしょうか?
本記事では「杢目の生成要因」「歴史的評価」「希少性」「杢目の名称」について
簡潔に掘り下げています。

2. なぜ希少な木目が生まれるのか?

1. 強風、雪、台風などの土壌や気候のストレスで繊維がねじれる→波杢,縮み杢,虎杢
2. 傷を修復する過程で癒傷組織→瘤系
3. 昆虫や真菌が侵入→その後の自己修復プロセスによって模様が変質→杢:黒柿,スポルテッド
以上3つが、希少杢が生まれる主なプロセスです。

「生活環境が特異な模様を生んだ。結果的にそれが人の目を惹いた」という
狙いのないところに、人が美を捉えたという点に独自性があります。

3. 杢目への歴史的評価

・縮杢や虎杢は、楽器(バイオリン・ギター)や茶道具にも用いられる。
・歴史的にも、数寄者・大名が収集し、銘木帳などで記録されていた。
・正倉院宝物に玉杢のケヤキ材が使われている(1300年前)。
・江戸時代の数寄者が「杢目を見て銘をつける」文化があった。

史料や伝世品から、古来すでに材面の美を鑑賞していた事実がうかがえます。

4.希少性と希少の理由

・希少は原木1,000本〜10,000本に1本レベルの出現率。
・「黒柿の孔雀杢」はその中でもさらに1%未満。
・加工・乾燥が極めて難しいため、使える部分が少なくコスト高。
・大材での流通はほぼ不可能、小物でのみ享受できる。

昔は伐採・搬出技術の制約で手に入れにくい希少材。
現在は資源枯渇で存在自体が希少─理由が変化しています。

5.名をもつ模様

・玉杢:ケヤキやカエデに現れる、大小の同心円が散らばった模様。正倉院にも使われた歴史あり。
・瘤杢:傷や病気でできたコブから生じる。クスノキ・黒柿・ケヤキなどで特に美しいものが出る。
・縮杢(ちぢみ杢):繊維のうねりにより縮緬のような質感。トチやカエデで見られ、光沢が強く立体感がある。
・虎杢:幹の繊維がうねることで虎のような縞が生まれる。メープルやトチで顕著。
・孔雀杢:黒柿に極稀に現れる黒と白のコントラストのある模様。1万本に1本と言われるレアさ。
・泡杢:瘤の中でも特に粒状の模様が密集したもの。

このような杢と名称は、明治の書物「木材ノ工芸的利用」にすでに引用されています。
https://dl.ndl.go.jp/pid/842427
原典:『木材ノ工芸的利用』(農商務省山林局編,大日本山林会,1912)
※「国立国会図書館」で全ページが公開されています。

6.杢の裏─加工・仕上げの困難さ

・杢目材は、乾燥に数年単位の時間と高い技術が必要。
・割れやすく、反りやすく、失敗率が高いため歩留まりが極端に低い。
・加工時の「どこをどう切るか」で模様の見え方が激変する。
・製材時、板目か柾目かによって同じ杢でも出方が違う。
・まなこの音のように「小物への昇華」が現実的な活用法

狂いやすく、割れやすく、加工が極めて難しい。
歩留まりの悪さから商業利用には敬遠されています。

7.まとめ

木目を形づくるのは樹木という観点から、
材面の模様は生活環境によって変化し、特異な造形を作り出すことがあります。
私たちは、かなり昔から、鑑賞的な意味を見い出していた可能性が高いです。

同じ木でも個体差があり、微妙な違いがあります。
「どうやって選べばいい?」
良し悪しに関する一定の基準は設けられていますが
「なんとなく惹かれるかどうか」
この感覚が一番大切で、正解だと思います。
感覚は人間関係に近いようなものかもしれません。

名のある銘木の模様に惹かれることもあれば
何の変哲もない木材に惹かれることもあります。

目にすると惹かれる引力に、ふいに立ち上がり、目をやる
「なんとなしにいいものだと感じる」
この感覚は私たちが実は古来持っていた感性なのかもしれません。
経年を劣化とする通常の感性を経年美化として捉え直す
この感性を思い出すことは日常にささやかな楽しみを増やす、面白いものの見方だと思います。

《 まなこの音について 》
まなこの音では、銘木材の表現の仕方を、研究し、
個々の特徴ある木がより引き立つ方法を模索しています。
また、銘木材を使用した日常に使える「製品」の制作、販売を行なっております。
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