屋久杉とは―時が形づくる造形の美しさ

屋久杉ー時が形づくる造形の美しさ

屋久杉を形づくる大地

屋久島に自生する、樹齢1000年以上の杉を「屋久杉」と呼びます。
※日本で初めて世界自然遺産に登録された島です。
有数の多雨地帯である屋久島の地盤は花崗岩です。
土壌が浅いため樹木は根を横へ広げながら成長します。

屋久島は1400万年前、火山活動によって隆起し形成されました。
そのため「峰」と呼ばれる山々が連なります。
日本で最も標高差の大きい特異な地形のため、標高によって気候が変わり、
日本で最も多くの種類の植物が存在します。
1914年に、米ハーバード大学の植物学者ウィルソンが屋久島を訪れて、
その多様な植物相に深い関心を示したという記録が残ります。

屋久杉の特徴

屋久杉は、一般的な杉とは異なり、色味が濃い茶色です。
しっとりとした触感と独特の艶は、台風の多さや浅い土壌などが関連すると考えられています。
瘤材と呼ばれる希少材には大変緻密で美しい模様が出ます。
腐食を止める油分は深く甘い香りを持ち、抽出され精油としても活用されています。

屋久杉の断面模様

樹齢が形づくる奥行き

屋久島という特異な環境下で育った巨木には、鶉杢と呼ばれる模様が出ます。
江戸時代には屋久杉は薩摩杉と呼ばれていたことが分かっており、ブランド杉として全国に名を馳せていました。
当時は、まだ豊富に屋久杉が自生しており、水に朽ちない性質から、年貢として納められていました。
年貢には屋久杉の幹材が使われ、根材、瘤材は山に放置されました。
当時電動機械がなく、加工方法が確立されていなかったことが要因です。
根材、瘤材は、ここ100年で搬出され様々な製品に加工されています。

2020年以降、公の市場が閉じ、搬出は行わておらず、供給は減少しています。
今ある限られた材にどう向き合い、どう形にしていくか。
屋久杉は、ただ古い木ではなく、長い時間と自然の力がかたちづくった、ひとつの造形です。
その普遍的な美しさに、どのような手を加え、何を選び取っていくのか。
過去がそうであったように、令和に生きる私たちの美意識や暮らしを映し出す造形もまた、変化し続けていくはずです。

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