近年、古民家ブームやサステナブルな素材への注目から、
古材を活用したリノベーションや建築が増えています。
しかし一方で、いわゆる「銘木材」の流通や需要に関しては、
以前とは異なる様相が見られるようです。
今回は、実際に解体から建築までを一貫して手掛ける古材屋さんに伺った話をもとに、
古材解体の現場での銘木材の扱いとその需要の変化について考えます。
解体現場での銘木材は「ほとんど出ない」
古材屋さんによると、解体現場から銘木材が出ることは、実際にはごく稀だといいます。
古い建物であっても、構造材や内装材に特筆すべき銘木が使われているケースは少なく、
たとえ出たとしても量は限られがちです。
その背景には、かつての住宅でも一般に使われていたのは地場の杉や松などが中心で、
特に高級な銘木をふんだんに取り入れた建築は一部に限られるという事情があるようです。
「需要がない」銘木材をめぐる市場の実情
興味深いのは、仮に銘木材が解体によって出たとしても、
そのまま古材として流通することはほとんどないという点です。
理由としては、銘木に対する需要自体が減少していることが挙げられます。
かつては、一枚板や無垢の銘木材が建材として流通していましたが、
近年は工期短縮やコスト面から合板や集成材が重視され、
後になって動く可能性のある無垢材を使う施工を敬遠する企業が増えています。
そのため、銘木商や古材商にとっても、
一枚板などの銘木を仕入れて販売する機会は減りつつあるといいます。
変化した建築トレンドと今後
建材の主流が大量生産された工業製品へシフトした背景には、
住宅メーカーの台頭やライフスタイルの変化があります。
特にこの20年ほどで、無垢材や一枚板をふんだんに使用する贅沢な住宅は減少しており、
その分、銘木材への需要も大きく落ち込んでいるのが現状です。
ただし、古民家再生や自然素材を生かした建築が注目されつつある今、
限定的とはいえ、銘木材を求める一部の施主やデザイナーも存在します。
そのため銘木市場が完全に消滅したわけではないものの、
数や流通ルートが限られるため、
扱いにくい素材(レアな素材)として扱われるような側面もあるようです。
まとめと展望
今回の取材からわかったのは、
・解体現場で銘木材が出ることは極めて少ない。
・仮に出ても、古材として流通するケースはほぼなく、需要が限られている。
・大手住宅メーカーを中心とした建築トレンドの変化が、銘木材の取り扱いに大きく影響している。
実際には地域や業者によって事情が異なる場合もあり、
今回の古材屋さんの話がすべての現場に当てはまるわけではありません。
しかし、銘木商や古材業界の変遷を考える上で、
こうした声は重要な手がかりになります。
今今後もさまざまな関係者の声を参考に、
伝統的な木材の新しい活用方法を探っていけたらと思います。


